臍(へそ)ヘルニア
臍(へそ)ヘルニアとは?
臍ヘルニアとは、腹腔内の臓器が、へその部分を押し出し膨らむ病気です。
へその部分は、他と比較して腹壁が弱いですので、内部からの力がかかると押し出す力に負けてへそが飛び出てしまうことがあります。これを臍ヘルニアといいます。
なぜその部分から臓器が脱出してくるのでしょうか?
原因は、大きく先天的なものと後天的なものに分類されます。
先天的な原因は、生まれた時から臍の部分が弱く臍ヘルニアが発症します。
後天的な原因として、肥満・妊娠・腹水、重いものを持ち上げるなどの腹圧がかかる状態が多い人に発症しやすいとされています。
慢性的な咳が続く人も臍ヘルニアになりやすいと言われいます。
臍はもともと筋膜が薄く弱い部分であり、腹圧が高まると、腸管などの内臓が飛び出しやすくなります。
筋膜の代謝異常やコラーゲン、エラスチンの減少といった組織脆弱性も関与していると言われています。
自然に治ることはありません。
臍ヘルニアの症状
臍ヘルニアの治療法
臍ヘルニアの治療のほとんどは、手術による治療が必要になります。
手術は大きく分けて2種類の方法があります。
ヘルニア門(ヘルニアの穴)が小さい場合、弱くなった箇所を単純に縫合閉鎖します。
ヘルニア門が大きい場合は、人工のメッシュで補強する方法を採用しています。
メッシュを用いた臍ヘルニアの手術は、最も多く採用されいる術式ですので安心して手術をお受けていただけます。
メッシュを用いた臍ヘルニア修復術

メッシュを用いた手術方法は、ヘルニアの大きさや患者さまの状態によって異なりますが、大きく分けて以下の2つの方法があります。
1:腹壁を3cmほど切開し、直接ヘルニアを修復する方法で、腹膜前腔と言う筋膜と腹膜の間にメッシュを挿入します。
2:お腹に5mm程度の小さな穴を2箇所開け、カメラと手術器具を挿入して行う腹腔鏡下術があります。腹腔内よりメッシュでヘルニア門を閉鎖します。この方法も臍の形成を行うため、臍を2cmほど切開します。
いずれの手術も飛び出した臓器を元の位置に戻し、弱くなった腹壁を補強することで臍ヘルニアが起こらにようにします。
嵌頓などの合併症を防ぐためにも早期の手術治療をおすすめします。
手術の合併症について
臍ヘルニアの手術で、代表的な合併症について説明いたします。
⚪︎出血・血腫
非常に稀ですが、手術部位から出血し、血腫(血の塊)が形成されることがあります。
⚪︎創部違和感・硬結
手術後、手術創が固く感じたり違和感を感じたりすることがあります。個人差はありますが、約2~6ヶ月程度でもとの固さに戻ります。
これは自然な経過です。ご安心ください。
⚪︎感染
手術後の傷口は、細菌が入らないように注意していても、感染してしまうことがあります。これは、手術に伴う一般的なリスクの一つです。
多くの場合は、傷口を清潔に保ち、薬を塗ったり飲んだりすることで改善します。しかし、まれに、人工補強材にまで感染が広がってしまい、再度手術が必要になる場合もあります。喫煙や糖尿病をお持ちの方は、傷口の治りが遅く、感染を起こしやすい傾向があるため、注意が必要です。
臍の周りという場所は、体の他の部分に比べて、細菌が入り込みやすい構造をしているため、感染のリスクが少し高めです。
⚪︎臍の変形
臍は形が良くなるように形成してきますが、ケロイド体質の方では多少の臍の変形を起こすことがあります。
⚪︎疼痛
手術後の痛みは一般的なものですが、長引く場合もあります。これは個人差が大きいです。
合併症が出た場合は…
手術の傷口の状態が気になることがございましたら、遠慮なく医師にご相談ください。痛みが増したり、新しい種類の痛みが感じられたり、傷口が赤くなったり腫れたりした場合は、特に注意が必要です。特に、熱が出た場合は、感染の可能性がありますので、すぐに受診していただくことをおすすめします。
合併症は必ず起こるものではありません
多くの場合、手術は無事に終わり、良好な経過をたどります。しかし、合併症が起こる可能性があることは理解しておきましょう。
不安があればお電話ください
手術後、通常2時間後には退院していただくことができます。
短時間の入院で、日常生活への復帰が早いのが当院の手術の特徴です。
帰宅後は、無理のない範囲で日常生活を送ってください。1週間後と2週間後の診察では、傷口の回復状況を確認させていただきます。




